私たちが日々生活をする上で、「お金」は欠かせない存在です。おそらくはどんな社会活動であってもお金は必ず付いてまわるものであり、それにまつわる悩みは誰もが直面するテーマだと言えます。
そんな「くらしとお金の課題を解決する」ことをミッションに掲げているのが、株式会社ナビゲータープラットフォームです。当社では、くらしに根ざした「お金」の情報をもっと身近に、そしてもっと分かりやすく理解してもらうために「LIMO」(リーモ)という経済メディアを展開しており、既存の経済メディアの読者層に限らない多様なユーザーに愛読いただいています。
具体的にどんな思想でメディアを展開しており、また会社として今後どのようなチャレンジを行っていく予定なのか。今回は、ナビゲータープラットフォームの共同創業者(代表取締役)でありLIMOのコンテンツマネージャー/統括ディレクターでもある泉田 良輔氏に、じっくりと話を聞きました。
「くらしとお金の課題を解決する」ことをミッションに掲げ、経済メディア「LIMO」の運営を中心に事業を展開しています。
LIMOは2015年に立ち上げたWebメディアなのですが、右肩上がりに成長しており、現在は月間1200万UU(ユニークユーザー)という国内最大級の経済メディアとなりました。
LIMO リーモ|くらしとお金の経済メディア https://limo.media/
立ち上げ当初は「投信1」(読み方:トウシンワン)という名前で、投資信託について学ぶためのコンテンツを中心に配信していました。
ただ、この名前だとどうしても、投資信託に興味のある人以外のアンテナにかかりにくいという問題があり、もっと身近でわかりやすく“くらしとお金”に関する情報をお届けしたいと考えて、2018年の夏にLIFE & MONEYを短縮した「LIMO」という名称へとリニューアルしました。
各ジャンルの専門家が話題のニュースを解説するという「ネットメディアの経済ワイドショー」という目線を据えており、弊社の社名もそういう思いも込めてナビゲータープラットフォームとした経緯があります。
大変ありがたいことに、国内の主要ポータルサイト様やニュースキュレーションアプリ様にも配信させていただけていることもあって、多くの方に読んでいただいています。
これ、イノシシではなく「ブタ」です(笑) ブタさんの貯金箱ということで、お金について何か困ったことがあったらLIMOを読んでね、という意味でこのようなデザインにしています。
おっしゃる通り、一般的な経済メディアだと働きざかりの男性が読者の大半を占めるケースが多く、現に投信1の時代は8割が男性読者でした。でも、現在のLIMOでは読者の約6割が女性になっています。
先ほどのリニューアルのタイミングで、女性にも親しみやすいメディアにしたいよねとなって、そのようなコンテンツを増やす形にしました。毎日20本程度の様々なジャンルの記事を配信するようにしています。
お金にまつわる情報は、とにかく格差が大きいということが一番の課題感です。
先ほど触れなかったのですが、以前「Longine」(読み方:ロンジン)という個人投資家向けの情報提供サブスクサービスをやっていました。国内トップクラスの証券アナリストによる日本株の投資アイデアや、産業界・学術界のスペシャリストの知見を、中立の立場から個人投資家へと提供するというものです。
機関投資家と個人投資家では、知っている情報の内容と量に圧倒的な差があるからこそ、ここをとにかく埋めたいという大きな思いがあって展開していました。残念ながら2020年3月をもってサービス自体は終了となりましたが、そこで記事を書いていた執筆者の一部はそのままLIMOで記事制作を行っていて、同じ思いをもって情報発信をしています。
そもそも皆さんの記憶をさかのぼってもらってもよいのですが、小学校・中学校・高校でお金の勉強をしたことがあるかと問われると、今の30〜40代の方はほぼ「NO」と答えるでしょう。そんな中でいきなり資産運用をしろと言われても、なかなか厳しいと思います。だからこそ、LIMOが果たせる役割は大きいのではないかと思っています。
絶対に聞かれることだと思い、用意してきました。こちらが運営にあたって特に意識していることです。
この中でも一番大事にしていることは、しっかりと一次情報を伝えるということです。私自身、証券アナリストを10年ほどやっていたのですが、正確な情報をキャッチして活かすには会社や官公庁が出している情報をチェックし、それに対してしっかりと分析をかけることが不可欠でした。新聞社のスクープのようなものはなく、あくまで公開情報をもとに分析した結果をニュースとして発信しています。
情報が極限まで整理されている世界であればそうかもしれませんが、今の段階では、ほとんどの公開情報が見過ごされていると考えています。統計情報や会社からの大小様々なニュースを全てキャッチして把握するなんてことは不可能ですよね。だからこそ、私たちのような存在がしっかりと「目利き」をしてニュースとして解説を加えることが大事だと捉えています。
この殺伐とした世の中に、少しでもほっとした話題を届けたいという思いからですね。お金って聞くと、「何だか汚いもの」「はしたないもの」って考える方も少なくありません。そういう背景もあり、お金の記事はSNSでもシェアされにくい性質があります。ただ、本来的にお金は、私たちの生活へと非常に密接に関わっているものです。だからこそ、もうちょっと心温まるような気持ちになってほしいと思い、このような意識で記事を出しています。
基本的には編集者一人ひとりが、これまで公開された記事にまつわるデータを分析して、読者が興味を持つテーマを探りながら企画しています。
当社では特に定量データを重視しているので、そのデータ分析から仮説を立てて記事として制作・配信し、そこからまたデータを検証して仮説を立て直すという、そんなPDCAを常に回しています。一生懸命作ったコンテンツを作って出しっぱなしにせずに、データ分析を通じて読者がどのような情報を必要としているのかを突き詰めて次の企画に生かすというサイクルです。
もちろん、データはあくまで「過去」に関する情報なので、これからの未来については編集者ごとのセンスに任せています。
全部で5名おり、バックグラウンドは様々です。ファッション紙の編集長をやっていたメンバーがいれば、大手証券会社の営業担当経験者や金融メディアのアナリスト経験者、地方自治体の公務員年金の実務担当者だったメンバーもいます。
編集者以外にも編集者をサポートする編集支援のチームもあります。彼らのバックグラウンドは書籍の元校閲者であったり、外部の大手メディアでの執筆経験者であったりします。コンテンツに関係するメンバーということになれば編集者以外もおり、さらに人数は増えますね。
そうですね。ただ共通点としては、みんな何かしらのスペシャリティ(専門性)を持っているということです。それぞれが得意とする領域を軸にして記事のテーマを深掘りしていき、必要に応じて外部の専門家をアサインしながら制作を進めています。
正確にお伝えすると、データを専門的に分析するチームが別にありまして、そのメンバーが提供する分析結果を編集者が一緒になって確認しながら、配信した記事のフィードバックや次の記事企画を考えるということをやっています。
このあたりは評価制度と密接につながっていることもあり、業務オペレーションの習慣としてしっかりと根付いています。
ナビゲータープラットフォームの編集者は、自分で発信したPVを厳格に計測して成果を「見える化」しているので、それをベースに四半期に1度ボーナスを決めるようにしています。コンテンツに関する自由度が高いからこそ、一般的な編集者としての業務以上に、マネジメントの視点を養ってもらうことを目標としています。
そこについてはシンプルにコンテンツに関しての「ネガティブリスト(絶対にやってほしくないリスト)」を作って共有しています。
そうした絶対に守るべき共通ルールとして持ってもらった上で、あとは各々の自分の名において自由に記事制作を進めてもらっています。
コンテンツに関する自由度が高いからこそ、一般的な編集者としての業務以上に、マネジメントの視点を養ってもらうことを目標としています。
ナビゲータープラットフォームは私と代表の原田の2人で創業した会社なのですが、お互いに証券アナリストとしての経験から、設立当初から家にいてもできる仕事が多いよね、という話をしていました。
先ほどお伝えしたような一次情報の収集は自宅でネット環境さえあればできますし、それをもとにした分析とアウトプットについても、特段集まって話し合う必要はありません。もちろん、ここまでお伝えしているLIMOの運用についても、日々の記事コンテンツは働く場所を問わず、どこであっても問題なく制作・配信できます。
なので、そもそも勤務の必要性が低いよね、というコンセプトでフルリモートワークの勤務体系にしています。実際にLIMO以外のメディアも含む編集部全体でみると、スタッフは東京を始めとした関東地方から中部地方、また関西、中国地方に居住しながら仕事をしています。
そのころは逆に、選択肢としてのリモートワークではなく、「リモートワークでないと勤務できない」という方が積極的に入ってきた印象です。急なご家族の転勤で通勤前提だと厳しくなった人や、もともと遠隔地に居住しているような人です。
ちなみに、これは多くの会社が感じていることだと思いますが、リモートワークは「仕事の仕方が確立された人」にはとても良い仕組みだと感じています。ナビゲータープラットフォームにはそういう自律したメンバーが多いので、結果として何の問題もなく業務ができているのだと思います。
メディアだけでは解決できないことを深堀していきたいですね。
長くメディアをやっていると、読者の方から「情報は分かったけど、次の一歩はどうすれば良い?」というフィードバックを多く受け取るようになってきました。つまり、あるていど正確な情報は手に入るが、それを自分ごととしてどのように活かせばよいのか分からない、という部分で多くの方が悩まれています。
会社としては、そういう人たちをしっかりとサポートしてあげることも必要だと考えており、たとえばLongineを展開していた当時は「泉田塾」という名前で対面講座を行っていました。配信した記事の内容をより詳しく解説したり、個別の投資手法をレクチャーしたりしていたのです。
でも、結局講座が終わると、また新たな疑問・質問が沸いてきて、それについて個別に質問してくるという状況でした。そのような経緯もあって、もっとお金にまつわるサポート体制を充実させる必要があるなとずっと感じていました。メディアの限界を知ったわけです。
グループ会社の株式会社OneMile Partners(「株式会社ワンマイルパートナーズ」、現在「株式会社モニクルフィナンシャル」※)は、まさにそんな背景から誕生した会社となります。ちなみに、ワンマイルパートナーズを2018年11月に設立し、軌道に乗ったため、2020年3月にLongineのサービスを終了しました。
※はたらく世代のお金の診断・相談サービス「マネイロ」を軸に、資産運用に対する課題を診断・勉強・相談(オンラインもしくは対面)でサポートする事業を展開する企業。
まさに、メディアも含めてなのですが、何らかしたの事業やサービスのマネジメントができる人、つまりマネージャーを育てることを、会社の一つの目標として定めています。編集者も、中長期的にはマネージャーとしての視点を持ってもらうキャリアパスがあるということです。
もちろん、キャリアパスとしては今お伝えしたようなマネージャー路線のほかに、編集者の道を極めていただくエキスパート路線も用意しています。その人の特性や意向に応じて、しっかりとキャリアを選択してもらえるようにしています。
何かしらの専門性を持った人がいいなと感じています。専門性があることによって、記事の内容に“深さ”が出てきます。なので、人柄はもちろん、過去の職歴や資格といったものもしっかりと確認させていただいています。
あとは、新しいことにチャレンジできる人であることも大事ですね。自分が過去発信していることだけではなく、たとえば人を目利きする力が備われば、専門家をアサインすることで自分のジャンルを超えて情報発信できる可能性がでてきます。そんな、ポジティブな姿勢の方にジョインして欲しいですね。
ナビゲータープラットフォームでは、挑戦する人を応援しています。何かに失敗しても、それで評価が下がるということはありませんし、そもそも私たち経営陣も残念ながら失敗しまくりです。
ただ一方で、失敗してからの軌道修正はすごく早いことも特徴です。特に最近ではあらゆる情報をデータとしてほぼリアルタイムに確認できるので、軌道修正の早さは非常に大切です。
このような「修正力」をもって、うまくいかなかったことを考え合うカルチャーがナビゲータープラットフォームには根付いているので、思考しながら走りたい方にはぴったりの環境だと思います。興味をもっていただけたら、ぜひ気軽にお話をしましょう!
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